VRが主流になる以前に3Dブームを担った3Dテレビについて考える

どこもかしこも3次元映像といえばVRだと知れ渡るようになった。プレイステーション4ではPSVRが発売され、PCでは各社からさまざまなVR機器が発売されている。
PC版では安定した動作をさせようとするためにはハイスペックな性能を求める仕様となっており、現状ではまだまだ一般ゲーマーが気軽に手を出せるほどの価格帯にはなっていない。

立体映像の分野としてはこれからという感のVRだが、すでに時代を終えた3D対応テレビの存在もあった。
3Dテレビはすでに生産されなくなっており、パナソニック、東芝、LGに続き、ソニーとシャープの3D対応テレビは、いずれも2016年発売モデルを最後に生産終了している。

日本における3Dテレビは、2010年2月発売の「VIERA VT2」を皮切りに、各社テレビの上位モデルが順次3Dに対応した。映画「アバター」(2009年12月公開)の大ヒットもあり、「これからは3D」という機運が高まっていた。
3D対応テレビを選ぶ購入者の割合は2012年に16%とピークを迎えたが、その後は減少傾向。2015年は11%、2016年は7%と急速に減少している。

なぜ3D対応テレビが売れなくなっていったのか?

3D対応テレビが売れなくなった原因について、まず挙げられるのは技術的な側面ではメガネをかけることが必須であることかもしれない。しかし、これは3D対応テレビに限ったことではなく、現在主流のVRではゴーグルをすっぽりと頭にかぶらなければいけない、つまりメガネをかけることはそれほど大きな理由とは考えにくい。

さらに3D対応テレビの3Dメガネには2種類の方式があり、アクティブシャッター3Dメガネを利用し、左右の目用にあわせて用意した映像を交互に表示するフレームシーケンシャル方式と、パッシブ型の安価な3Dメガネを用いる偏光方式が共存していた。購入者はどちらかに対応した3Dテレビが必要となる。
こういった仕様の違いにわかりにくさで一部のマニア向けとしてのニーズに留まった可能性もあるかもしれない。

ではどうして人気がなくなってしまったのか。その理由のひとつに4Kテレビの台頭があげられる。純粋に3Dの人気が落ちたというより4Kテレビの仕様上、製造ラインから3D方式を外すメーカーが増えてきたという。
安価な偏光式3Dメガネの場合、偏光フィルターと液晶パネル等への貼り合わせに、より高い精度が求められることから、パネルの生産効率やコスト面から避けられるようになってきたという。

さらにテレビの高性能化の流れで「HDR」(ハイダイナミックレンジ)があげられる。従来よりも輝度・明るさの表現力が重視されるようになった。
高画質化トレンドは、「4K」と「HDR」。3D表示のニーズはあったが4KとHDRの高画質を供給するためには3D用のフィルターを外すほうが都合がよかったのである。

3Dの臨場感を楽しむためのテレビの進化はVRの登場で一応区切りがついた。これからは3D映像を楽しむVR用のヘッドセットを装着したり、AR、MRといった仮想世界を構築することで3D技術への模索が始まっている