手書きは重要か?について 子どもに文字を手書きさせる必要性

パソコンやスマートフォンの普及によって手書きで書く機会が非常に減ってきています。

アメリカ・イリノイ州で、学校に通う生徒に筆記体を手書きで練習させることを義務づける法律が可決されました。アメリカの多くの学校ではもはや教育上の必須条件から外れ、一部の地域ではカリキュラムからも落とされてしまった筆記体の練習ですが、なぜイリノイ州では筆記体の練習を義務づけるのでしょうか。

イリノイ州の上院議員たちは、筆記体を書けることは「必要不可欠なスキル」と主張していますが、現実的に考えれば、多くの大人がもはや筆記体で文字を書くことがなくなってきています。イギリスの郵便会社であるDocmailが2012年に成人2000人を対象に行った調査では、回答者の3分の2が「41日間で買い物リストほどの短いメモ書き程度しか実生活の中で文字を書いていない」と回答しており、長い文章などを書くのに適した筆記体の活躍の場は一気に減り、日常生活では子どもが最初に覚える活字体で十分であることが明らかになっています。

やはり世界的に筆記で書くという機会が減ってきているようです。そこで筆記離れに歯止めをかけようとする動きもみられます。

アメリカのインディアナ州のように、完全に筆記体離れをする州や、フィンランドのように手書き文字の練習を段階的に終了している国や地域が存在します。中には、手書き文字を完全に放棄したインドの学校などもあり、手書き文字の練習に費やす時間を、現代においての必須スキルとなりつつある「タイピング」や「コーディング」の習得に使用する方針が増えてきています。

子どもに手書させることで、キーボード入力などでは得られない効果を得ることができます。2005年にフランスのエクス・マルセイユ大学の研究者が公表した論文によると、3~5歳の小児におけるタイピングとライティング(手書き)の効果の違いは凄まじく、手書きの方が書いたものの内容をよく覚えることができるそうです。

2012年に公表された調査結果では、過去に読み書きを勉強したことがない5歳の子どもにライティング、タイピング、文字の書き写しを行ってもらい、その後、MRIスキャンを行いながら子どもたちに対して文字の書かれた画像が示されました。するとライティングを行った子どもは読書などで使用する脳の領域が活動的になったものの、タイピングを行った子どもたちの同部位は活動状態を示さなかったそうです。

子供のうちに手書きに触れさせる機会を増やすことが効果的であるということでしょうか。これは確実に証明された理論ではないものの、可能性として有用であるという結論に至っています。

「書く」という身体動作が子どもが「何かを読む」という行為を学ぶ助けになる可能性があると結論づけています。研究論文の著者のひとりであるカリーン・ジェームズ博士は、「(体を動かして)何かを行うことは、認知発達において重要な役割を担う脳のシステムを構築する上で大切なことです」と語っています。また、手紙を書くとして、見ているだけの人と実際に手を動かして書く人では、まったく異なる影響を受けることになる、としています。

さらに、2014年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者が行った研究でも、キーボードとペンの違いが浮き彫りになっています。研究では大学の講義を紙やペンを使ってメモするグループと、ノートPCを使ってメモするグループに分けて、生徒たちが講義内容をどのくらい覚えているかをテストしました。すると、ペンと紙を使っている学生はより深いレベルで情報を処理する傾向になることが判明しています。研究に携わったジェームズ博士は、「誰かが話をしている時に手書きで内容をメモしようとする行為は、相手の言葉を自分の言葉にしようとしているのかもしれません」と語っています。

「書く」という作業そのものが、脳の発達や情報を処理することを向上させるということについても述べられています。

カーネギー教育振興財団の調査によると、筆跡が汚い場合テストの点数が低下するという調査結果も出ています。これは筆跡が汚いと頭が悪くなるという話ではなく、「汚い字で書かれた」思考やアイデアは、より厳しく採点される傾向があるということを指します。

興味深い所としては、たとえ「書く」作業を行っていても、筆跡が汚いと他者から厳しく採点される傾向があるという。

https://gigazine.net/news/20171125-teach-children-joined-up-handwriting/

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