ビールが生成される体 – 体内でビールを醸造し「お酒を飲まないのに酔った状態」が何年も続いていた男性

体の中で勝手にアルコールが生成され、常に酔っぱらった状態になるというフェイクニュースみたいな事があるらしい。その名も「自動醸造所症候群」とそのままだろって突っ込まれそうな病名。

お酒を飲んでいないにもかかわらず飲酒運転で逮捕され、気分のむらや攻撃性といった症状を呈し、酔って転倒し頭にケガを負う……といった状態が7年以上続いていた男性が、体内でビールを醸造してしまう「自動醸造所症候群」(ABS)だったことが判明しました。ABSと診断された男性が通常の状態に戻るためには、2年間にわたる治療を要したとのことこです。

https://arstechnica.com/science/2019/10/man-charged-with-dwi-after-alcohol-fermenting-yeast-in-his-gut-got-him-wasted/

アルコール好きな人が聞いたら羨ましいと思うかもしれません、まあ冗談ですが。延々と酔っぱらった状態というのも内臓にかなりの負担があると思います。頭もボーっとすると外出もままならないだろうし注意力が散漫になるので仕事も手につかなくなって最悪だと職を失うことにもなりかねません。

アメリカ・ノースカロライナ州に住む46歳の男性は、数年前から食後に頭がぼんやりし、気分が落ち込むという症状を呈していました。原因がはっきりしないまま数年を過ごし、2014年に男性はお酒を全く飲んでいないにもかかわらず飲酒運転で逮捕されました。この時の男性の血中アルコール濃度は0.2%で、法定の基準値を大きく上回る値だったため、警察・看護師は「飲酒していない」という男性の主張を信じなかったとのこと。その後、2017年に男性は転倒し、頭部に外傷を負っています。自らの体調を不信に思った男性は何件もの精神科医・内科医・神経科医・胃腸科医を回りましたが、原因は不明のままでした。

日本の 道路交通法では呼気1リットル中0.15mg以上アルコールを検知した場合「酒気帯び運転」となります。 これを血中アルコール濃度に換算した場合、 血中アルコール濃度は0.02~0.04%です。つまりこの男性はお酒を飲んでいない状態で血中アルコール濃度は0.2%だったので、日本の道交法にあたる酒気帯びの5倍~10倍のアルコールが血液内を循環していたことになります。

しかし、男性のおじとおばが同様の症状について耳に挟んだことから、男性はオハイオ州の研究者に連絡。2015年に男性は「自動醸造所症候群」(ABS)と診断されるに至り、症状が出てから7年以上が経過した2018年に、ようやく治療に成功しました。

自動醸造所症候群は体内で発酵が起こり、ビールを醸造してしまうという症状です。非常にまれな症状と言われていますが、過去にも同様のケースが報告されており、抗生物質を摂取し腸の中が一掃された状態で出芽酵母(イースト)に感染すると、このような症状が出ると考えられています。

今回の男性の場合は2011年に親指を負傷し、3週間にわたって抗生物質をした後に症状が出るようになったとのことです。

ビールを体内で醸造するという極めてめずらしい症状。腸内にはさまざまな菌が存在しており、それらの菌が一定のバランスを保っている腸内環境がなくなってしまうと、パンに添加されていることで有名なイースト菌にすら感染してしまうらしいという驚きの結果。

2017年、ニューヨーク州スタテン島にあるリッチモンド大学メディカルセンターの研究者グループは、男性に強力な抗真菌薬を投与。この時も一度目はピザとソーダによって再発してしまったため、より強力な静脈注射を行うことで、ついに菌の駆逐に成功させました。2018年2月時点で男性が通常の食事を行っても、血中アルコールが検出されなかったそうです。そして、2019年時点でも再発は報告されていません。

抗真菌薬の投与によって完治したとのことでこの男性の悩みは解決しましたが、今回の場合はとくに血中アルコール濃度が高いという状態で症状は深刻だったと思います。逆に血中アルコール濃度が低い場合はどうなんだろうと思ってもみました、軽度の自動醸造所症候群が存在するのかどうかはわかりませんが、もし自覚症状がないくらい酔っているような状態がある可能性もありえるのではないかと。

https://gigazine.net/news/20191028-drunk-without-drinking/

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