いじめが脳に与える影響について – 長期間にわたる「いじめ」は脳の一部を萎縮させる

いじめられると行動力が減退するなど、外見的に委縮することはしばしば聞かれます。今回、いじめの影響が脳そのものを委縮させているという研究が公表されています。

子ども時代にいじめられた経験は、何十年間も記憶に残り続けるもの。「いじめが脳に与える影響」について、科学系メディアのUndarkが解説しています。

https://undark.org/article/can-bullying-change-brain/

いじめは、現代では世界的な問題として捉えられています。2018年1月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)統計研究所は世界の10代の若者のほぼ3分の1がいじめを経験したことがあると発表しました。

http://uis.unesco.org/en/news/new-sdg-4-data-bullying

いじめが原因でさまざまな悪影響が起こると言われています。これを脳科学、神経科学に基づいて研究をしていく新分野が開拓されています。

いじめなどが原因の心的外傷(トラウマ)は、被害者に学業成績の低下・失業率の上昇・うつ病・不安症・ストレス障害などの影響を与え、薬物乱用や自傷行為、そして自殺などを引き起こします。その影響は長年にわたって続くということが知られており、影響範囲は健康・財政・教育レベル・BMIなど広域にわたります。

いじめに関する神経科学の研究のほとんどはこの10年に行われており、新興の研究分野です。2018年12月に発表された論文は、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンで行われている「IMAGEN」というEU間の研究プロジェクトの一環として発表されたもので、「脳の構造にいじめが与える影響」に関するものです。

https://www.nature.com/articles/s41380-018-0297-9


調査の結果、研究チームはいじめと関係性があると考えられる部分を9カ所特定。さらに、長期にわたっていじめを経験した被験者は運動と学習に関連する被殻尾状核の左脳側の容積が大幅に減少していたことを発見しました。研究の筆頭著者であるErin Burke Quinlanさんによると、この萎縮は「一時的な状態なのか永続的なものなのかはまだ不明」とのことで、研究チームは被験者の脳を継続的に調査する予定です。

やはり脳が委縮していたという研究結果になります。さらに、委縮状態が永続的なものかもしれないという。

Quinlanさんの研究では、どの生物的メカニズムが脳の容積を変化させたかまでは断定してはいません。カナダ・オタワ大学で子どものメンタルヘルス及び虐待予防に関する研究を行っているTracy Vaillancourt教授は、脳の萎縮はストレスホルモンの「コルチゾール」が原因である可能性があると語っています。

コルチゾールが原因である可能性があると述べていますが、ストレスホルモンは多すぎても少なすぎてもダメで、常に調節が行われている重要なホルモンです。 これはたしか副腎から分泌されているストレスを調整するホルモンだったと記憶しています。

Vaillancourt教授によると、虐待やいじめを経験した若者は慢性的にストレスによるコルチゾールを経験した結果として、通常時のコルチゾールレベルが低くなるとわかっているとのこと。この現象はいじめを受けた若者だけでなく、帰還兵や性的暴行の被害者、強制収容所に収監されていた人などでもみられるそうです。

Vaillancourt教授は、「虐待を受けた子どもが『悲しかった』と語っても研究資金は下りないという理由で、虐待に関する神経生物学的な研究は、虐待の心理に関する研究よりも15年は遅れている」と主張しています。Vaillancourt教授は、虐待に関する神経生物学的な研究が盛んになった原因の1つが、「議会に対して、虐待によって実際に萎縮した脳のスキャン画像を提示した」ことであると語っており、今回の研究によって、いじめが脳を萎縮させる物理的な証拠が得られたとして、「いじめに関する神経生物学的な研究は前進するだろう」と語っています。

いじめだけでなく、いじめを受けた心身に近い状態「帰還兵」、「性的暴行の被害者」、「強制収容を受けた人」も同様の脳委縮がみられたという結果にみなさんご想像どおりの悪影響だと思います。虐待の生物学的研究が遅れているという主張には意外な気もします、大人の世界でもタブーとしてあえて研究を避けてきたのかもしれません。

https://gigazine.net/news/20191015-how-bullying-shape-adolescent-brains/

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